ウレタン防水が劣化した時の最適な補修方法とは?状況別の対応策を徹底解説 

雨や紫外線から建物を守るために行う防水工事は、新築工事の際に必ず行われます。しかし、年月が経てば施工箇所の劣化が進み、防水効果がなくなってしまいます。


そのため、定期的に防水工事を行い、常に万全の状態にすることが求められるのです。


そんな防水工事には複数の施工方法があり、その中でも多くの建物で採用されているのがウレタン防水です。


ウレタン防水は一般住宅だけではなく商業施設をはじめとした多くの建物で施工されているため、私たちの生活に馴染み深いでしょう。


ウレタン防水のことを知ることで、今後防水工事を行う際に役に立つはずです。


今回は、ウレタン防水が劣化した時の最適な補修方法・対応策についてご紹介させていただきます。



ウレタン防水とは?

ウレタン防水とは、液体状になったウレタン樹脂を施工箇所に塗り、化学反応によって硬化させることで防水膜を作る防水工事です。


液体状のウレタン樹脂を塗るという施工方法であるため、施工箇所は繋ぎ目がなくきれいに仕上がるという特徴があります。


さらに、他の防水工事と比べて安価で施工できること、複雑な施工箇所でも施工が可能であるということ、施工箇所が劣化しても重ね塗りで補修できるといった、さまざまな魅力があります。


そのため、ウレタン防水は日本国内で施工されている防水工事のうち46%を占める主流な防水工事です。


ただし、施工の際には職人がウレタン樹脂を塗るため、職人の腕次第によって仕上がりに差がある点に注意が必要です。


仮に不慣れな職人などに依頼した場合、施工後すぐに問題が発生する可能性があるかもしれません。


ウレタン防水はこのようなリスクもあるため、依頼時は信頼できる業者を選定する必要があるといえるでしょう。



症状別対応方法について

ウレタン防水の寿命は、8年から10年とされています。


そのため、施工後にも定期的にメンテナンスを行い、寿命が近づいてきた時点で補修工事の検討が必要です。


ただし、寿命を迎える前に破損や劣化症状が確認された場合は、すぐに対策しなければいけません。


何かしらの要因で施工箇所に問題が生じると、そこから水が浸入してしまうことも起こり得ます。


建物を雨水から守るためには、ウレタン防水の施工箇所の劣化症状を見逃さず、早急な対応が必要不可欠です。


しかし、どのようなものが劣化症状か分からなければ判断が難しいでしょう。

ここでは、ウレタン防水の劣化症状とその対応方法についてご紹介させていただきます。



表面のひび割れ


ウレタン防水の表面には、トップコートと呼ばれる防水層を保護する役割を担っているものがあります。


表面にひび割れが生じている場合、このトップコートが破損している可能性があります。


トップコートには防水効果がないため、ひび割れが生じているからといってすぐに雨水が浸入することはありません。


しかし、そのまま放置していればひび割れが防水層にまで広がってしまう可能性があります。


また、表面だけのひび割れだと思っていても、実は防水層にまで広がっているひび割れの可能性もあります。


そのため、表面のひび割れを発見した場合は、問題箇所の補修工事を早急に行いましょう。


ただし、ひび割れが広範囲であれば、全体的に防水工事を行う必要があります。


また、ひび割れは経年劣化だけでなく地震によって生じることもあります。

年数が経過したタイミングだけではなく、大きな地震があった時にも建物の状態を確認しましょう。



塗膜の浮きや膨れ


塗膜の浮きや膨れは、下地が水分を含んでいることで生じる劣化症状です。

水分を含んだ下地が太陽光などの熱により蒸発することで、このような状況になるのです。


浮きや膨れが生じていると、劣化箇所での防水効果が発揮されていないと判断できるため、早急な対応が欠かせません。


また、浮きや膨れをそのまま放置していると、そこが何かしらの要因で破損した場合、雨水の浸入の原因になりかねません。


結果として、雨漏りなどの原因になる危険性があるのです。


浮きや膨れは一見すると大きな問題ではないと思われがちな劣化ですが、すぐに問題箇所を剥がし、補修工事を早急に行わなければいけません。



防水層の亀裂


ウレタン防水の表面だけではなく、防水層にまで亀裂が広がっていた場合は、早急に問題箇所を撤去して新しい防水層の施工が必要です。


防水層に亀裂が入っていた場合は雨水から建物を守れていないため、建物内部にどんどん水が浸入していく深刻な状態になってしまいます。


もしもこの状態を放置していると、建物の寿命を大幅に縮めてしまうでしょう。


そのため、防水層にまで劣化症状が見られる場合は、専門業者に見積もりを依頼して迅速な施工が求められます。



雨漏り


雨漏りは劣化や破損した防水層から多くの雨水が浸入することが原因で起こります。


雨漏りが起こると、クロスのシミやカビの発生、建物内部の腐食などといったさまざまな問題の原因になります。


この状態になった場合、早急に専門業者に建物や防水工事の施工箇所の確認を依頼しましょう。


まずはウレタン防水の施工を行った箇所の内、どこが原因で雨漏りが起きているのかの原因を特定します。


知識や経験がない方では、なかなかこの判断が難しいため、専門業者でなければ正確な場所の特定は困難でしょう。


その後、原因の箇所が特定されたら、再度防水工事の施工です。


さらに、建物内部に腐食や劣化が起きていないかを確認し、雨漏りによって建物が受けたダメージに対する補修なども必要不可欠です。


雨漏りが発生した場合、その対応に必要な工事は大がかりになる可能性が高いでしょう。


このような状態になる前に、定期的な防水工事や補修工事を行うことをオススメします。



主に2種類ある施工方法について

ウレタン防水には、主に2種類の施工方法があります。


もしも築年数が経って再度ウレタン防水を検討する場合、施工方法を選択する必要があります。


その場合は専門業者と打ち合わせを行い、その上で決めていくのですが、その際にそれぞれの施工方法の特徴を知っておくことで打ち合わせがしやすくなるでしょう。


ここでは、2種類あるウレタン防水の施工方法をそれぞれご紹介させていただきます。



密着工法とは


密着工法とは、液体状のウレタン樹脂を下地に直接塗る工法です。


この工法は、施工の工程が少ないため工期が短く、初期費用が安く済むという魅力があります。


さらに、下地に直接ウレタン樹脂を塗れるため、複雑な形状の施工箇所や小面積の場所に適しているのです。


ただし、下地がすでに水分を含んでいる場合や真夏の暑い時期に施工をした場合、防水層に膨れが生じやすいという弱点もあります。



通気緩衝工法とは


通気緩衝工法とは、下地に接着剤で通気性能に優れた通気緩衝シートを設置し、その上からウレタン樹脂を塗る工法です。


この工法は、下地と防水層の間に水分や湿気の逃げ道を作ることができます。


さらに、通気緩衝シートには内部の空気の抜くための脱気筒を設置するため、空気の逃げ道の確保も可能です。


結果として、密着施工のデメリットであった防水層の膨れが生じやすいという問題を解決できるのです。


ただし、密着工法よりも工期・費用がかかる点に注意しましょう。



まとめ


今回は、ウレタン防水についてご紹介させていただきました。


ウレタン防水は日本で非常にポピュラーな防水工事であるため、施工できる専門業者が非常に多くいます。


しかし、施工する業者の腕によって仕上がりに差が生じやすいため、依頼先は慎重に検討しなければいけません。


防水工事を定期的に行わなければ、建物の劣化を進める原因になりかねません。


そのため、定期的に建物の様子を確認し、必要があれば専門業者に相談しましょう。