【ビルやマンションの屋上】防水工事にかかる費用はどのくらい?塗り替えの時期や注意点についても徹底解説

ビルやマンション、アパートなどを所有されるオーナーにとって、屋上の定期的な防水工事は必要な管理業務となります。では、もし防水工事をするとしたらどれくらいの費用がかかるのでしょうか。この記事では、防水工事の費用相場や、塗り替え時期、注意点について徹底解説していきます。



屋上防水工事とは?

屋上防水工事とは、屋上に防水工事を施して雨漏りを防ぐことです。雨水は屋根から建物に染み込みやすいので、天井雨漏りの原因となってしまいます。ビルやマンションなどには屋上がありますから、管理人は屋上防水の点検や修繕を行う義務があります。


一度屋上防水工事をしても、経年劣化をしていくので定期的に塗り替えをする必要もあります。ひび割れが発生したり、水たまりができると万全な防水ができていないことになります。工事方法は複数あるので、費用相場や効果を見て決めていきましょう。



屋上防水工事の素材別費用相場

屋上防水工事は、どんな素材を使うかによって費用相場が変わってきます。なるべくなら費用を抑えたいと思う気持ちもわかりますが、コストパフォーマンスを考えれば耐久性が高いものを選ぶのも良い選択です。以下、3つのよく使われる素材について費用相場を記載しておくので、参考にしてみてください。


FRP防水

FRP防水の施工価格は、1㎡あたり6,500~10,000円です。プラスチックを屋上に塗っていく工事方法です。プラスチックと言っても、ガラス繊維で強化したものを使用しています。塗るタイプであれば、塗膜防水と呼ばれることもあります。耐用年数は10~12年ほどなので、10年周期で塗り替えをすることをおすすめします。


FRP防水は屋上防水工事の中では費用が安く、工期も1日程度で終わるため、これらの点をメリットに感じる方が多いです。素材が軽いため、建物に負担をかけないことも魅力のひとつでしょう。屋上を軽くする必要のある高いビルや高層マンションなどに向いています。


ただ、伸縮性はあまりないため、地震などで建物が揺れた際にひび割れが起きやすくなることも覚えておきましょう。



ウレタン防水

ウレタン防水の施工価格は、1㎡あたり6,500~12,000円です。塗料を屋上に塗ることで防水効果を発揮する点はFRP防水と同じです。屋上防水工事の中では最もスタンダードな方法といって良いでしょう。耐用年数もFRP防水と同じく10~12年ほどです。


ここで押さえておきたいのは、ウレタン防水には2種類あるということです。ひとつは「密着工法」といい、下地の上にウレタン防水材を塗ってから補強材を重ねて層を作っていく工法です。もうひとつは「絶縁工法」といい、シートにウレタン防水材を塗る方法です。


ウレタン防水材は夏には早く硬くなりますが、冬の寒い日には硬化速度が落ちるため、工期が1日以上かかることがあります。早く工事を終えたいなら作業を依頼する季節にも注意しましょう。



シート防水

シート防水の施工価格は、1㎡あたり8,000~15,000円です。塩化ビニールシート、あるいはゴム製のシートを屋上に貼り付ける工法です。FRP防水やウレタン防水と違い、塗るのではなくシートを張り付けるため厚さが均一になり、ムラがないのが特徴です。値段はFRP防水やウレタン防水より高いですが、その分耐用年数は10~15年と少し長くなっています。


シート防水にも2種類あり、ひとつは「接着工法」です。下地として接着剤を塗り、その上から防水シートを張り付ける工法です。そしてもうひとつは「機械的固定工法」です。下地の上に緩衝材を敷いて固定金具を設置し、その上から防水シートを張る工法です。


でこぼこしている面にシートを張るのは向きませんが、平な屋上であればキレイにシートが張れます。


それぞれの工法について、詳しく知りたい方は下記のコラムもおすすめです!
参考記事:【4種類の防水工事】素材や工法について防水のプロがわかりやすく解説します



屋上防水の塗り替えタイミングとは

屋上防水工事は、一度施したら放置して良いものではありません。永久に防水効果があるわけではないので、定期的に塗り替える必要があります。では、適切な塗り替えタイミングはいつなのでしょうか。


耐用年数に応じて10年ごとに塗り替え

屋上防水の塗り替えタイミングは、上記でご紹介した防水工法の耐用年数に従って10年ごとにするのがおすすめです。実際にはもう少し長く持つことも多いのですが、雨漏りが発生してしまったり、ひび割れや水たまりなどの異常が見られてからでは余計な費用がかかってしまう場合があります。ですから、まだ大丈夫なうちに塗り替えておく方が無難です。


雨が降った後、屋上に上がって定期的に異常がないか確認するのも大切です。特に雨が多い地域は要注意ですし、最近よく起きるゲリラ豪雨に耐えられるよう早め早めの対策が必要になってきます。



トップコートは5年おき

屋上の防水工事をする際、トップコートというものを塗ります。これは塗装の表面に塗るものです。このトップコートは、5年おきに塗り替えることをおすすめします。屋上は太陽光をもろに受ける場所ですが、紫外線に弱い塗料を使っているとトップコートがはがれやすくなってしまうのです。トップコートの下まで塗り直す必要が生じれば、より高い費用がかかってしまうので定期的なプロによる点検が必要です。


ビルやマンションの屋上は、高くて他に日光を遮るものがないことから紫外線を長時間浴びています。もし心配なら、業者に紫外線に強い塗料が良いと希望を出しましょう。工事費用は高くなっても、不備が現れにくくなるため心強いです。



異常が見られないなら15年おきでも可?

費用に余裕がない場合などは、屋上の防水工事を15年周期で行ってもセーフかもしれません。雨漏りが起きてしまってからでは遅いので判断が難しいところですが、屋上に行って特にひび割れや水たまりなどの異常が見られなければ、15年ほどは持ってくれる場合もあります。


特に先ほどご紹介した耐用年数が比較的長いシート防水の場合、15年ほど持つので定期的な点検のみに留めておくこともできます。もちろん、点検で異常が見つかればすぐに塗り替えをすべきですが、何もないならもう少し耐えてくれるでしょう。



屋上防水工事の注意点

これから屋上防水工事をするのであれば、業者選びなどの注意点を理解しておきましょう。安い工事ではないので、後悔しないよう業者は慎重に選ばなければいけません。防水工事の工法の違いは上記で説明したので、ここからは業者選びを中心に見ていきましょう。



防水工事業者は雨漏りに対応できない

屋上防水工事は雨漏りを予防するための工事です。よって、防水工事業者は雨漏りそのものには対応できません。対応してもらいたいなら、雨漏り専門の別の業者に修繕を依頼する必要があります。


もしビルやマンションで雨漏りが発生しているなら、先に雨漏りに対応している業者に連絡しましょう。それから、原因が屋上であれば改めて防水工事業者に屋上の防水工事を依頼します。2つの業者にそれぞれ費用を支払うことになると高くつきますから、できれば予防の防水工事を万全にしておきたいものです。


また、雨漏り工事と防止工事を両方対応できる業者もありますので、問い合わせをする際には、どの範囲までの工事に対応してもらえるのかをしっかりと確認をして、依頼するようにしましょう。



アフターサービスが充実している業者を選ぶ

屋上の防水工事が終わると安心するかもしれませんが、その後のことも考えておきましょう。見落としがちですが、経年劣化により防水機能は徐々になくなっていくので定期的に点検してくれる業者でないと本当の安心は得られないのです。


特におすすめなのは、保証期間が長い業者を選ぶことです。万が一施工不良などがあった場合に対応してくれるからです。どんな業者も完璧な仕事がいつもできるとは限りません。腕が良く、評判が高い業者でも保証期間は長い方が無難です。



施工実績や資格を持っているかをチェック

屋上の防水工事をしっかりやってくれる業者を探すためには、2つのポイントを押さえておけば大丈夫です。ひとつは、施工実績が多い業者を選ぶことです。施工実績は業者の公式ホームページに記載されていることも多いので、ネットから簡単にチェックできます。施行数が多いなら、実績として記載したいはずなので自信のある業者なら情報が見つかるでしょう。


もうひとつ押さえておきたいのは、資格を持った人がいるかどうかです。防水工事業者に勤める人が持っておくと良い資格は「防水施工技師」の資格です。資格があればそれだけ勉強し、腕が確かであるわかりやすい証拠となるのでこちらもチェックしてみてください。他にも、建築許可番号が登録されていると信用できる業者と言えます。



まとめ

ビルやマンションの屋上防水工事にかかる費用は、どんな工法を選ぶかによって違います。耐用年数が長いものが良いなら少し値が張りますが、塗り替え工事の頻度が減るメリットもあります。大体10年を一区切りとすれば安心ですが、もしひび割れなどの異常が見られるなら、早めに業者に連絡して点検してもらってください。