防水工事に火災保険の適用は可能?注意点やよくある質問など徹底解説

建物を保護する役割を担っている防水工事の施工を行う場合、相応の費用が掛かるため施工の検討にはなかなか前向きになれないという方も多いでしょう。


このような方には、火災保険を活用した防水工事がおすすめです。


適用には条件があるものの、条件を満たせれば費用の補助を受けて防水工事を行えます。


そこで今回は、火災保険のことや申請する場合の注意点などについてご紹介いたします。



火災保険とは?

防水工事を行う場合、火災保険の適用範囲内であれば保険料を受け取れてお得に施工ができます。


申請する際には、火災保険が適用される事案かという点は重要なポイントです。


ここでは、火災保険についてご紹介いたします。



火災保険が適用されるケース


自然災害の影響によって雨漏りが発生した場合、火災保険が適用されるケースがあります。


ただし、自然災害全てが適用されるのではなく、風災・雪災・雹災の3つの自然災害のみ適用される点にご注意ください。


風災は、台風や竜巻などの強い風が原因で起こる瓦のズレや屋根の破損などの被害です。


雪災は、積雪による屋根の変形や破損、雹災は雹によって屋根や外壁が破損することです。


これらの自然災害によって雨漏りが発生した場合、火災保険が適用される可能性があるため、申請することをおすすめします。



火災保険の種類


火災保険は大きく分けて免責方式とフランチャイズ方式に分類できます。


免責方式の場合には、あらかじめ決めておいた免責金額を基準として考えます。


被害額が免責金額以下であれば保険金が発生せず、それ以上であれば被害額と免責金額の差額分の金額を受け取ることが可能です。


一方で、フランチャイズ方式は20万円を基準として、その金額を超えた場合にのみ保険金を受け取れる方式です。


ただし、20万円以下であれば保険金を受け取れず、全額自己負担になる点に注意しましょう。



防水工事の種類

防水工事にはいくつか種類があり、中には自然災害の影響を受けやすいものもあります。


ここでは、それぞれの防水工事についてご紹介いたします。



FRP防水


強化繊維プラスチック(FRP)のシートを敷き、そこに樹脂を塗布するFRP防水はベランダやバルコニー、屋上などで採用されることの多い防水工事です。


高い防水性や耐久性に優れているといった特徴がある反面、伸縮性が少ないため振動や熱・湿度の変化に弱いといった特徴があります。


そのため、自然災害によってひび割れが生じる可能性もあるでしょう。



ウレタン防水


施工箇所に液体状のウレタン樹脂を複数回塗布することで防水層を形成するウレタン防水は、ベランダや屋上などで使用されることの多い防水工事です。


ウレタン樹脂を直接施工箇所に塗布した後に補強布を張り付ける密着工法や、裏側に溝があいている通気緩衝シートを張り付けて樹脂を塗布する通気緩衝工法などの工法があります。


工事費用を抑えた施工や、下地の影響を受けにくい施工ができるといったメリットがあります。


雹災や風災などによって施工箇所が破損した場合には、すぐに損害保険会社に連絡しましょう。



塩ビシート防水


塩ビシート防水とは、塩化ビニル樹脂製のシートを施工箇所に貼り付けることで防水層を形成する防水工事です。


工場で生産されたシートを使用するため、均一な厚みで仕上げられるといった特徴があります。


また、広範囲の施工に適しており、共同住宅や商業施設などでも使用されることが多いです。


そんな塩ビシート防水は、風災の被害を受けやすいといった特徴があります。


施工箇所に貼ったシートが強風で捲れてしまい、破損するといったことが起こり得るのです。


そのため、台風や竜巻などの自然災害が発生した場合は、すぐに状態を確認しましょう。



アスファルト防水


アスファルト防水は、大型の建物の屋上や屋根で使用されることの多い防水工事です。


液体状に溶かしたアスファルトを染み込ませた合成繊維不織布(ルーフィングシート)を二層以上に仕上げて防水機能を高めるといった施工方法です。


アスファルト防水には融解させたアスファルトを使用する熱工法、トーチバーナーを使用するトーチ工法、熱を使わない常温工法などいくつもの工法があります。


この防水工事は耐久性に優れていますが、雹災をはじめとした各災害で破損することがあるため、万一の場合には火災保険の活用を検討しましょう。



火災保険で防水工事をする場合の注意点

火災保険で防水工事を行うことを検討する場合、いくつかの注意点があります。


注意点を知らないでいると、保険金を受け取れなくなる可能性があるため、把握することが大切です。


ここでは、火災保険で防水工事を行う場合の注意点についてご紹介いたします。



経年劣化は保険対象外


火災保険はあくまで風災や雪災などの自然災害が原因によって発生した被害に対する補償です。


そのため、経年劣化による雨漏りや破損は対象外です。


ただし、実際に自然災害によって破損したのか、経年劣化によって破損したのかの判断はなかなか難しいとされています。


その場合は、損害保険会社から派遣された損害鑑定人が現場に赴き、状況の確認を行ったうえで判断します。


メンテナンスを怠っている建物の場合には、経年劣化が原因であると判断されてしまうこともあるのです。


そのため、建物を小まめにメンテナンスしていなければ、本当に自然災害による破損であったとしても保険金を受け取れない可能性があります。



3年以内に請求する


火災保険の請求期間は、損害が発生してから3年以内に行わなければいけないと定められています。


これは、3年以上経過した場合には原因の特定が困難になるからといった理由があります。


そのため、破損箇所を発見したとしても申請を後回しにしてしまうと、保険金が受け取れなくなることも起こり得るのです。


さらに、破損箇所を放置していると状態が悪化して被害が大きくなる可能性も高いため、自然災害による破損が発生したらすぐに申請の手続きを行いましょう。



保険の種類によっては保険料が受け取れない


先ほどもご紹介したように、火災保険には免責方式とフランチャイズ方式の2種類があります。


自然災害によって発生した被害であっても、被害額が免責金額以下や20万円以下であると、保険金を受け取れません。


このような問題は、発生した被害状況や保険の種類によって起こり得るため要注意です。



火災保険で防水工事をする場合のよくある質問

火災保険で防水工事を行う場合、さまざまな疑問が生じることが多々あります。


このような疑問が生じても、どこで確認すれば良いのか分からない方もいらっしゃるでしょう。


ここでは、火災保険で防水工事を行う場合におけるよくある質問をご紹介いたします。



火災保険を使っても保険料は上がらないの?


自然災害による被害が発生した際に、申請を行って保険金を受け取ったとしても保険料は上がりません。


自動車保険などであれば等級制度が設けられているため、更新時の保険料が上がるといったことがありますが、火災保険ではその制度はないため保険料は変化しないのです。



火災保険の申請は何回でもできるの?


自然災害による被害が発生するたびに、何度でも申請することが可能です。


また、過去に破損した箇所であっても修理してさえいれば、再度破損しても補償の対象になります。


そのため、自然災害が多く発生して破損が続いたとしても、それぞれの被害で申請可能です。



火災保険で給付された保険金が余ったら?


火災保険で給付された保険金は、基本的に使い道は指定されていないため使い道は自由です。


そのため、破損箇所を補修して保険金が余ったとしても、それを返金する必要はありません。


ただし、虚偽の申請や告知は犯罪になるため、行ってはいけません。


補修のために保険金を申請した結果、偶然保険金が余った場合にのみ、自由に使うようにしましょう。



まとめ


火災保険と聞くと、火事が起きたときにしか保険金が下りないと思っている方も多いでしょう。


しかし、自然災害による破損が発生した場合であっても、保険金の対象になる可能性があるのです。


防水工事は建物を守るためには欠かせませんが、自然災害が原因で破損することは大いに有り得ます。


その際に、火災保険が活用できるということを知らなければ、全額自身で負担するといったことになるかもしれません。


今後、自然災害によって問題が発生した場合には、火災保険の活用をおすすめします。